約 529,511 件
https://w.atwiki.jp/yugio/pages/723.html
拷問車輪 永続罠 このカードがフィールド上に存在する限り、 指定した相手モンスター1体は攻撃できず、表示形式も変更できない。 自分のスタンバイフェイズ時、このカードは相手ライフに 500ポイントのダメージを与える。 指定モンスターがフィールド上から離れた時、このカードを破壊する。 永続 直接ダメージ 罠 行動制限
https://w.atwiki.jp/1548908-tfe/pages/214.html
拷問車輪 パック:セイコさんからの気持ち・チェッカー・フラッグ 54704216 永続罠 このカードがフィールド上に存在する限り、 指定した相手モンスター1体は攻撃できず、表示形式も変更できない。 自分のスタンバイフェイズ時、このカードは相手ライフに 500ポイントのダメージを与える。 指定モンスターがフィールド上から離れた時、このカードを破壊する。
https://w.atwiki.jp/1548908-2/pages/452.html
拷問車輪 パック:黒き混沌の使者 54704216 永続罠 このカードがフィールド上に存在する限り、 指定した相手モンスター1体は攻撃できず、表示形式も変更できない。 自分のスタンバイフェイズ時、このカードは相手ライフに 500ポイントのダメージを与える。 指定モンスターがフィールド上から離れた時、このカードを破壊する。
https://w.atwiki.jp/1548908-card/pages/452.html
拷問車輪 パック:黒き混沌の使者 54704216 永続罠 このカードがフィールド上に存在する限り、 指定した相手モンスター1体は攻撃できず、表示形式も変更できない。 自分のスタンバイフェイズ時、このカードは相手ライフに 500ポイントのダメージを与える。 指定モンスターがフィールド上から離れた時、このカードを破壊する。
https://w.atwiki.jp/1548908-tf/pages/214.html
拷問車輪 パック:セイコさんからの気持ち・チェッカー・フラッグ 54704216 永続罠 このカードがフィールド上に存在する限り、 指定した相手モンスター1体は攻撃できず、表示形式も変更できない。 自分のスタンバイフェイズ時、このカードは相手ライフに 500ポイントのダメージを与える。 指定モンスターがフィールド上から離れた時、このカードを破壊する。
https://w.atwiki.jp/zensensyu/pages/445.html
拷問&処刑 764 名前:水先案名無い人 :05/02/22 21 24 46 ID /LSkgrGc0 「地上最凶の拷問が受けたいか――――ッ」 「ヤダ――――!!!!」 「ワシもじゃ ワシもじゃみんな!!」 「でも全拷問入場!!!」 全拷問入場!! 被尋問者は生きていた!! 更なる蘇生術を積み苦痛を長引かせて甦った!!! もう飲めない!! 水責めだァ――――!!! 器械的拷問はすでに我々が完成している!! 第一段階 親指締め器だァ――――!!! 突っ込みしだい広げまくってやる!! 強制拡張系器具代表 苦痛の洋梨だァッ!!! 苦痛の与え方なら我々の本数がものを言う!! 苦痛の基本 死なない程度の傷 針刺し!!! 真の恐怖を知らしめたい!! 予備審問 他人の拷問見学だァ!!! 吊るされるのは案外楽だが一気に落とすなら全関節脱臼ものだ!! 落下の衝撃 吊るし落としだ!!! 鬱血対策は完璧だ!! こめかみに血抜き穴 逆さ吊り!!!! 全拷問のベスト・ディフェンスは私の前にない!! 予備審問の段階が来たッ 拷問道具提示・解説!!! 分かり易さなら絶対に敗けん!! 日常の事故思い出させたる 簡単拷問 爪剥ぎだ!!! 漆黒の闇(なんにもなし)ならこいつが怖い!! 暗闇のピュア・フィーリング 五感遮断だ!!! 燃え盛る火鉢から炎の鉄塊が上陸だ!! 皮膚にジューッ 焼きごて!!! ルールの無い復讐がしたいから人豚(便所に放置)にしたのだ!! 呂后の狂気を見せてやる!! 四肢切断!!! めい土の土産に聖母の抱擁とはよく言ったもの!! 聖人の棘が今 実戦で突き刺さる!! 鋼鉄の処女 アイアンメイデンだ―――!!! 中世暗黒期魔女裁判こそが地上最狂の代名詞だ!! まさかこのトゲつき椅子がきてくれるとはッッ 審問椅子!!! 壊したいからここまでしたッ 実用性一切不明!!!! 圧縮系のメカニカル(器械的)ヘルメット 頭蓋骨粉砕器だ!!! コレはSMプレイではない致死的で拷問なのだ!! 御存知股裂き 三角木馬!!! 足責めの本場は今やスペインにある!? オレに耐え切る奴はいないのか!! スペイン長靴だ!!! 痛ァァァァァいッ説明不要!! 歯医者の痛み!!! 神経直接!!! 歯を削る拷問「歯医者」だ!!! 拷問は実戦で使えてナンボのモン!!! 超実戦拷問!! 本家日本から駿河問いの登場だ!!! おっぱいは大事なもの 自白しないやつは思いきり挟み思いきり引き裂くだけ!! 女性限定責め統一王者 乳房裂き器 良心を試しに矛先変えたッ!! 心理的圧迫全シチュエーションチャンプ 身内を目の前で拷問!!! 石板に更なる追加を載せ “算盤板”石抱き責めが帰ってきたァ!!! 今の作業に意味はないッッ!! 穴掘っては埋めるだけ 賽の河原!!! 日本二千年の縄捌きが今ベールを脱ぐ!! 奉行所から 海老縛りだ!!! 被尋問者の前でならオレはいつでも音量全開だ!! 燃える爆音 轟音責め ヘッドホンで登場だ!!! 医者の治療はどーしたッ 傷の痛み 未だ消えずッ!! 擦り込むも洗い流すも思いのまま!! 傷口に塩だ!!! 特に理由はないッ 感電がツラいのは当たりまえ!! エジソンにはないしょだ!!! 電極通電! 電流責めがきやがった―――!!! 暗黒街で磨いた実戦拷問!! 和風拷問のデンジャラス・セット 五寸釘と蝋燭だ!!! 尋問だったらこの方法を外せない!! 超A級ガマン大会 不眠強要だ!!! 超一流器具の超一流の使い方だ!! 生で引き伸ばされてオドロキやがれッ エクセター公の娘!! 伸張台!!! 科学的尋問はこの薬物が完成させた!! 近代拷問の切り札!! 自白剤だ!!! 基本の責めが帰ってきたッ どこを打つンだッ チャンピオンッッ 俺達は君を待ってないッッッ鞭打ちの登場だ――――――――ッ 加えて拷問継続に備え超豪華なリザーバーを4種御用意致しました! 首絞め台 ガロット!! 伝統派暴行 性的虐待!! 東洋(韓国)の香辛料!唐辛子責め! ……ッッ どーやらもう一種は実際には行われなかった様ですが、裏が取れ次第ッ皆様にご紹介致しますッッ 「サイテーだァァ!」 「アリエネェェ~!」 「ヤメテクレェ~!」 「サイテーだぁ!」 「いっそ――いっそのこと、せめて一思いに殺してくれぇぇ!」 「では、ご要望にお答えして…… 全処刑法入場!!」 全処刑入場!! 邪悪な魔女は潜んでた!! 更なる拷問を積み本人の自白が翻った!!! 魔女裁判!! 火炙りの刑だァ――――!!! 武士の特権はすでに我々が完成している!! 斬り捨て御免その場で斬殺だァ――――!!! 捕まえしだい働かせまくってやる!! シベリア強制収容所代表 死ぬまで強制労働だァッ!!! 太陽神の祭祀なら我々の歴史がものを言う!! 太陽神の生贄 アステカ文明 生きたまま心臓摘出!!! 真の暴虐を知らしめたい!! ヴラド・ツェペシ公 串刺し刑だァ!!! 刑の上は回数決まってるが苦痛なら全部打つ前に死亡だ!! 死んだ方がマシの激痛 鞭打ち刑だ!!! 死体処理対策は完璧だ!! 海賊の処刑法 海の上の板渡し!!!! 全苦痛のベスト・ディフェンスは私の中にある!! 安楽死の神様が来たッ 薬物注入!!! 難易度なら絶対に敗けん!! 処刑人の剣技見せたる 首切り役人 斬首刑だ!!! 群集リンチ(なんでもあり)ならこいつが怖い!! 狂乱のピュア・ジェノサイド 袋叩きだ!!! 近代的死刑から死の椅子が上陸だ!! 高圧電流 電気椅子!!! ルールの無い実験がしたいからマルタ(検体強要)にしたのだ!! 731部隊の非道を見せてやる!! 致死的人体実験!!! 革命の土産に人道的処刑とはよく言ったもの!! 恐怖の政治が今 仏蘭西でバクハツする!! フランス革命の産物 ギロチンだ―――!!! イエスキリストこそが地上の神の子の代名詞だ!! まさかこの男が処刑されるとはッッ 磔刑!!! 闘わせたいからここまできたッ キャリア一切不問!!!! ローマのスレイブ(奴隷)グラディエーター 剣闘士で殺し合い強要だ!!! オレたちは全処刑最凶ではない全死に様で最も怖いのだ!! 御存知 早すぎた埋葬 生き埋め!!! この刑の受刑者は今や首だけ出して埋めてある!! 鋸を挽く奴はいないのか!! 鋸挽きの刑だ!!! ヒドォォォォォいッ説明不要!! 四肢それぞれ別の馬に縛る!!! 千切れるまで続行!!! 八つ裂きの刑だ!!! 処刑は前線で使えてナンボのモン!!! 超実戦処刑!! 本家戦場から銃殺刑の登場だ!!! 苦痛はお前のもの 処刑するやつは思いきり殴り思いきり手足砕くだけ!! 中世ヨーロッパ最凶刑 車裂きの刑 自白を引き出しに拷問してたッ!! 拷問吏全言い訳チャンプ 拷問中に死亡事故!!! 毒虫毒蛇に更なる磨きをかけ “妲己の楽しみ”蟇盆(たいぼん)の刑が帰ってきたァ!!! 今の自分に食事はないッッ!! 死ぬまで晒し刑 吊るし籠!!! 中国四千年の惨刑が今ベールを脱ぐ!! 腹の傷口から 抽腸だ!!! 群集の前でならオレはいつでもボコボコだ!! 燃える民衆参加 石打ちの刑 縛られたままで執行だ!!! 裁判の判定はどーしたッ 魔女の疑い 未だ消えずッ!! 浮いても沈んでも救われぬまま!! 水検査だ!!! 特に理由はないッ ナチスが酷いのは当たりまえ!! 外国にはないしょだ!!! アウシュビッツ! 毒ガス室が設置された―――!!! バターンで磨いた実戦処理!! 旧日本軍のデンジャラス・戦争犯罪 死の行進だ!!! 日本だったらこの人を外せない!! 超A級盗賊 五右衛門風呂で釜茹でだ!!! 超一流哲学者の超一流の死に様だ!! 生で拝んで嘆きやがれッ ソクラテスの死!! 服毒自殺強要!!! 普通の処刑はこの方法が完成させた!! 13階段の切り札!! 絞首刑だ!!! 名誉の死に方が命ぜられたッ マジでやるのかッ サムライさんッッ 俺達はホントは死にたくないッッッハラキリ切腹の実行だ――――――――ッ 加えて死に損ない発生に備え超豪華なリザーバーを4種御用意致しました! 生涯牢獄 終身刑!! 伝統派欺瞞 拷問後に治療放棄!! 東洋の毒酒! 皇帝から送られた毒酒! ……ッッ どーやらもう一種は準備が遅れている様ですが、到着次第ッ皆様にご紹介致しますッッ 「やめてくれェェェッ」 「アリガタクネェ~~~~~」 「サイテだ~~~~」 「ヤメテクレェェッ」 関連レス 773 名前:水先案名無い人 :05/02/22 21 36 36 ID OK77L81u0 リアルタイムで見た。 すげーグッジョブ&(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル 774 名前:水先案名無い人 :05/02/22 21 40 21 ID T0+rehrL0 アイディアにGJ! 内容は(((( ;゚Д゚)))) 東洋の毒酒は、 酒 775 名前:774 :05/02/22 21 41 44 ID T0+rehrL0 ミスってしまった・・・。 東洋の毒酒は、鴆酒(ちんしゅ)というらしいですよ。 776 名前:水先案名無い人 :05/02/22 21 44 42 ID /LSkgrGc0 774-775 あ、フォローサンクスです。そういえば直そうと思ってたのにすっかり忘れてた(だから毒酒が二つ被ってる)。 鴆酒あおって逝ってきます 777 名前:水先案名無い人 :05/02/22 22 01 08 ID ZRt73s4I0 まさにグッジョブ。 震えた。 778 名前:水先案名無い人 :05/02/22 23 41 15 ID XAG1mwDZ0 まさか二段構えがくるとはッッ GJ!! 779 名前:水先案名無い人 :05/02/23 00 05 40 ID pxMiBQjf0 そんな凄惨な気分の中新スレよろしく(´゚Д゚`) 780 名前:水先案名無い人 :05/02/23 00 45 30 ID YvxTS+Od0 終わりかと思ったら処刑法に移ってまた… 『再度の怪』というものを実体験しますた。GJ! 781 名前:水先案名無い人 :05/02/23 00 52 27 ID 757uV8AE0 サイト見て作ったのならどこ見たかわかっちまったよ…… 176 名前:最近の残虐ネタ :05/03/01 18 17 57 ID pPW42Z2R0 前スレ終盤 アーヒャヒャヒャ シンスーレシンスーレ(゚∀゚)ノ ↓ ピンポーン 「 764-772でーす」 ( ゚д゚)ポカーン ( ゚д゚)・・・・。 ( ;゚д゚)・・・・。 (( ;゚Д゚))ブルブル ↓ 本スレ 86-89 (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル ↓ 本スレ 145-149 (((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク コメント 処刑じゃないのもいっぱいあるな - 名無しさん 2012-04-18 08 19 29 名前
https://w.atwiki.jp/fadv/pages/1083.html
拷問と暗殺 ヒューストン連続殺人 拷問と暗殺 ヒューストン連続殺人 (新潮文庫 リ 7-4) 題名:拷問と暗殺 --ヒューストン連続殺人-- 原題:SPIRAL (1986) 作者:DAVID L. LINDSEY 訳者:菊池 光 発行:新潮文庫 1993.6.25 初版 価格:\720(本体\699) 緻密で厚みのある描写で評価を得ている警察小説の書き手リンジーのひさびさの邦訳。恵まれた環境下ながら心には矛盾いっぱい、陰影いっぱいという生真面目な刑事ステュアート・ヘイドンのシリーズ第三作を読み終えた。 もともとは、ヘイドン・シリーズ外の唯一の作『悪魔が目をとじるまで』でこの作家を知った。『羊たちの沈黙』の影響で邦訳が急がされた思われるサイコ・サスペンスものであり、次に初訳『噛みついた女』を読んでも、やはりこの作家はサイコ・スリラーの書き手であるのだと思っていた。しかし続いて『殺しの VTR』を読んでみると、ちょいと性倒錯スリラーとは趣きを異にしてきた。戦場のスナッフ・ヴィデオとその趣向者たちが、いきなり人間の底にひそむ悪と暴力衝動を思い切り掲げてヘイドンの前に立ち塞がった。 そしてこの作品では、さらに悪の様相を捻じれて見えている。性倒錯ではなく、血への渇望でもなく、テロリストや悪政執行官たちの行動にヒューストンが戦場が変わった。彼らの行動が政治的であればあるほど、その原因は個人的な心の捻じれへと収斂してゆくのだ、と言わんばかりの、ヘイドンの懐疑と悲しみが全編を覆った一篇であると思う。 時に本編を離れて作者はキャラクターたちの心理へと彷徨い込んだりもする。老犬との交情を通して日常生活の中に潜むいくつもの生や死を拾い上げて見せもする。逆に、これでもかと言わんばかりに描写が並べ立てられるヒューストンという都市については、遠く日本から想像するぼくのような読者には暗号の羅列でしかないのだが、この都市を知っている読者にはおそらくたまらないものであろう。日本で、高村薫や志水辰夫や原りょうや大沢在昌が描写する細かな都市描写をニューヨーカーが読んでもぴんと来ないだろうからその辺は類推できたりする。 全体的に展開は過激なのだけど、テンポが掴みづらいだけに、さっと一気読みできる話ではないのだと思う。ただムードで読ませる作家だけに、好きな人はどの作品を読んでもいっぺんでリンジーのファンになれると思う。ぼくは、それだけにずいぶん楽しめた。 翻訳の堅めな菊池光は、フランシス程度の短い文章にはいいのだけど、こういう長文書きの作家の訳にはおおよそ向いていないと思った。主語と述語の関係がこれほど遠く、何を言っているのだかわからない日本語も珍しいやと、ぼくは何度も嘆かされた。時間もかかりました。ぼくは扶桑社から出ている『殺しの VTR』の入江良平という人の訳がけっこうこの作家に合うのでは、という印象が強いのである。 (1993.07.18)
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/43443.html
登録日:2019/12/12 Thu 01 21 34 更新日:2024/05/11 Sat 08 18 42 所要時間:約 10 分で読めます ▽タグ一覧 Eカード カイジ カイジシリーズ カイジシリーズの拷問 ギャンブル ゲーム デスゲーム ワン・ポーカー 一覧項目 制裁 剣 器官破壊装置 土下座強制機 外道 帝愛グループ 愛よりも剣 拷問 拷問器具 指ギロチン 欠損事故ルーレット 焼き土下座 痛め付けられるカイジの指 血のマニキュア 賭博 賭博黙示録カイジ 違法賭博 肉 焦がし……骨 焼く………鉄板の上でもっ……………! 本項目では、カイジシリーズで描かれた拷問行為や道具について解説する。 ●目次 【概要】 【拷問一覧】焼き印 人間競馬 電流鉄骨 (電流鉄骨渡り) 器官破壊装置 (Eカード) 焼き土下座/土下座強制機 指ギロチン 血のマニキュア 兵藤和尊の腰掛け 欠損事故ルーレット 兵藤和也プロデュース会員制レストラン 愛よりも剣 特殊ヘルメット (友情確認ゲーム「救出」) マザー・ソフィー 制裁(初級編) 三個一 拘束具 ハラスメント相談室 【拷問の分類】 【概要】 『賭博黙示録カイジ』を初めとするカイジシリーズは、負債者や闇金会社帝愛グループの人物達が繰り広げる違法賭博を描く。 しかし、安全性や公平性など無い違法賭博なだけあって、金だけでなく身体を犠牲にする場面も多い。 ギャンブルの敗者に対する制裁としての拷問もあれば、賭けに負けて身体で支払う場合の拷問も存在する。 カイジシリーズの登場人物には兵藤和尊や利根川幸雄などのサディスト気質の悪役が多いため、拷問を楽しむ描写も多い。 このような世界観設定もあってか、カイジシリーズでは多種多様な拷問が描かれている。 そもそもカイジシリーズのギャンブルの大半は身体を痛めつけるゲームであり、実質「ギャンブル=拷問」のような図式だったりするが。 無論ギャンブル外での拷問も少なくなく、有名な「焼き土下座」などもギャンブルとしての拷問ではない。 福本氏の作画はリアル路線ではないので、視覚的に大きいショックを受けるレベルでのリアリティがあるグロ作画ではない。 しかし、登場人物の心理描写や台詞回しによって非常に痛々しい拷問を描いており、読者の精神を削ってくる。 ある意味、拷問こそがカイジシリーズの魅力を作り出している要素の一つとまで言っても良いだろう。 なお、本項目ではギャンブル内の要素として登場する拷問もあるが、それらはゲーム自体の詳細な解説は省略する。 【拷問一覧】 焼き印 限定ジャンケンで敗れて別室送りになった人間に行われる拷問。身体に焼き印を行う。 別室送りになった人間は、ガラス張りの部屋で衣服を剥ぎ取られた全裸状態で黒服に焼き印を付けられる。 作中ではカイジが番号を示す「21」の焼き印を左肩に焼き付けられ、別室内に転がされた。 あまりにも痛々しい描写であるためか、アニメ版では焼き印が行われていない。 実写版では再現されているが、焼き印を行う際の詳細な描写はブラックアウトの形で省略された。 焼き印の形も番号ではなく、帝愛のマークを再現した形に変更されている。 焼き印には地下から逃げ出さないためにマイクロチップが埋め込まれているという仕様で、これが原作における器官破壊装置のイカサマ機能の役割も担った。 人間競馬 京葉新都心にあるスターサイドホテルで開催されたギャンブル。ゼッケンをつけた総勢12名の人間が、地上7~10メートルほどに架けられた計4本の鉄骨を渡って競馬のように順位を競う衆人環視のギャンブル。第1レースから第5レースまで全5回行われる。 地上7~10メートルの鉄骨から落ちると危ないのだが、下には軽くマットが敷いてあるだけで敗者には大怪我(最悪の場合死亡)をさせる前提。 競争ゲームなので参加者同士で落とし合わせやすくする仕様であり、パーティの参加者である衆人はそのような争いと大怪我で苦しむ光景を下から見て楽しむ。 電流鉄骨 (電流鉄骨渡り) 人間競馬をクリアしたあと、引換券を換金するために用意された『電流鉄骨渡り』における鉄骨。 鉄骨には強力な電流が流れているため、バランスを崩して手を付けば身体全体が強く感電して苦しむ。 感電死する程の威力ではないが、電流鉄骨渡りは地上から74mの場所で行われているので、「感電=死亡確定」である。 なおゴールにある部屋では、資産家など富裕層の客たちが蝋燭で照らされた薄暗い中、黒服たちがウェイターを務めるディナーを嗜みながらその様子を観戦する。 一応本項目では拷問器具として取り扱うが、電流鉄骨渡りは身体が痛んだ瞬間に即死するデスゲームなので、拷問の次元を超えている。 器官破壊装置 (Eカード) 『Eカード』にてカイジが取り付けられた拷問器具。正式名称不明。 ゲームのプレイヤーが金を賭けられず、その代わりとして目もしくは耳を賭ける際に使用される。 バンドで固定しリモコン操作によって装置の針が回転して動く機械で、眼球用と鼓膜用がそれぞれ存在する。 金の代わりに1mm単位で賭け、30mm(3cm)分負けると針が眼球や鼓膜に到達して損傷を与えるという仕組み。 ただし、鼓膜は破壊されても再生可能なので、基本的に鼓膜を選択する人間が多いと見られる。 実は器官破壊装置は場合によっては心臓を貫く用途にも使えるため、最大45mm進められる。 だが、そのような進め方を耳の部位で行った場合は脳味噌などの器官に到達して死亡する危険性がある。 Eカード自体は12戦で終わりであるため、12連敗しても全て最高2mmで賭けていれば器官の破壊は免れる。 このように安全な賭け方をすれば身体へのダメージは防げるが、千万単位の大金を得るのは不可能。 この拷問器具の真の正体はEカードにおける利根川のイカサマ専用装置。 この装置とカイジに渡した腕時計によって、カイジの脈拍、体温、発汗の情報が利根川の専用腕時計に表示される。 利根川はこのイカサマで相手の心境を察し、Eカードで圧倒的有利な立場でゲームを進行した。 装置は強引に外そうとすればリモコンに感知されてしまうため、外す事は不可能。 しかし、装置が付けられた身体の部位その物に損傷を与えて切り離す形で取り外される事は想定していなかったようだ。 結局この装置自体でカイジの鼓膜や脳が破壊される事はなかったが、イカサマ機能への対策として自ら耳を切り落とす痛手を負った。 焼き土下座/土下座強制機 拷問(懲罰)器具。兵藤が「謝罪の意があるなら焼けた鉄板の上でも土下座できるはず」として考案した謝罪方法(という体の拷問)。 兵頭の口上と絵面のインパクトもあって恐らく本作で最も有名な拷問。 高温に焼けた鉄板の上で膝を付き、額と両手を鉄板に付けた状態で10秒間土下座させられる。 拷問を受けた者が10秒経過したと思った時点で頭を上げるルールで、時間の計測はストップウォッチで行われる。 しかし、その時間が執行側が測った時間よりも少ない場合は身体へのダメージを考慮せずに何度もやり直し。 自力で行えない人間の為に「土下座強制機」なる十字架型の追加器具も存在する。 こちらは行う人間を足を置かせる下敷きの耐熱ガラスに置かせた上でベルトで固定し、その後ガラスを開いて無理矢理膝を付かせ、さらに前述の十字架が倒れて鉄板に身体を押し付ける。 強制機を使ってもなお土下座に至らない者は無理矢理手袋を着用した黒服が抑えつけて強引に土下座させるが、暴れると当然ダメージは拡大する。 現時点で土下座強制機を利用せずにこの拷問を終えられた者は利根川のみ。 利根川も皮膚や脳にでも熱のダメージが加わったのか、直接描写されていないが公式説明曰く「廃人当然」の姿に変貌した模様。 拷問要素を持つギャンブルをさせられる負債者を見て「安全であることの愉悦」を楽しんでいた男が、拷問を受けるという因果応報の末路だった。 余談であるが、鉄板は断じて特大焼き肉プレートではない。 指ギロチン 指を切断するための拷問器具。木の枠に指を入れてギロチンの形ではさみの片刃型の刃を下ろして切断する。 ティッシュ箱くじでカイジは金の代わりに指4本を賭けたが、負けたのでこの器具で切断される事になった。 だが、ギロチンの刃が鋭利な刃物だったことで切断面が綺麗な形になり、運良く接合手術は成功。 その幸運に加えて指治療を行った帝愛お抱えの闇医者の腕が優れていたこともあって、後遺症も起きる事無くカイジの指は元に戻った。 一方で、闇医者を利用した際は保険適用外だったこともあって200万円の出費が必要となり、カイジは借金が増えてしまった。 血のマニキュア 『賭博破戒録カイジ』にて、裏カジノの金庫前に不法侵入したカイジに対して行われた拷問。 専用器具を使って指の爪と肉の間に針を通して傷つける拷問で、行った後は出血した血が爪をマニキュアのように染める。 指の先は肉体の中でも触覚器官が集中しているので痛覚も敏感なので痛みは相当なレベルであり、一説では指ギロチンよりも痛みが強いと言われる。 カイジは指に大ダメージを負い、指ギロチンに続いて指に多大な負担を受ける始末となった。(*1) 『24億脱出編』では遠藤が坂崎に行おうとするが、寸前で容疑が晴れたことで施行される事はなかった。 兵藤和尊の腰掛け 兵藤は部下の黒服達を自身が腰を掛ける椅子として扱う事がある。 兵藤の体重の負荷による黒服の腰への負担は計り知れない。しかも座らせている人が人なので少しでもミスをやらかすと悲惨な事態待ったなし。 『中間管理録トネガワ』では複数の黒服を並べてベッドにするという応用を見せている。 欠損事故ルーレット カイジが「17歩」に挑んだ際、和也から借りた金を返せない場合に用いるルーレット。見た目は人生ゲームのルーレットに近い。 金の代わりに身体で払う事をルーレットで決定するという道具であり、(和也的に)拷問的な娯楽性を兼ね備えている。 カイジの人体の各部位の値段表が存在し、犠牲にする部位をルーレットで出た目で決める。 仕組み的には負債者に掛けた傷害保険によって事故という形で支払わせる。 しかし、そもそも17歩ではカイジの借りた金額が大きすぎたので、負けた場合はカイジは身体全てで支払うことになっていた。 そのため、欠損事故ルーレット欠損する順番を決めるためだけの道具という使用法に変更されている。 結局カイジは村岡に勝利したので、このルーレットの使用及び拷問は描かれることはなかった。 兵藤和也プロデュース会員制レストラン 和也がプロデュースした会員制レストラン。 レストランの中央にはマジックミラーを窓とした大きな空洞による部屋が存在し、そこで夜に拷問ショーを開催している。 ショーの内容は江戸時代や中世ヨーロッパの刑を再現した拷問、SMプレイ、逆さ吊りで水槽に付ける拷問など。 レストランの客にはこのような拷問を見ながらの食事は見たくない客もいるので、拷問部屋を背にして食事を行えるカウンター席がある。 しかし、ショーが佳境に入るとそこで食事をしていた者も拷問を観ている現象が起きる事から、その食事カウンターは「偽善の壁」と名付けられている。 和也の話に激怒したカイジは偽善の壁で食事したが、ステーキなど高級な料理に反して気分の悪い状態での食事になってしまった。 愛よりも剣 和也が執筆した小説中に登場するギャンブル…というか拷問ゲーム。 小説作中の拷問ゲームという体裁だが、実際には和也がほぼ同じゲームを現実で行っていた。 プレイヤー2人を、剣を差し入れする7つの穴が開いている特殊な箱に閉じ込めて拘束する。 穴に入れる剣は9本用意されており、穴は全部で14つ空いているが、そのうち9つは鉄板によりランダムでガードされている。 6番と7番の部分は足の部位なので刺されても死亡確率は低い(激痛によるショック死の可能性はあり)が、1~5番は上半身の部位なので運と当たり所によっては死ぬ確率がある。 9本全ての剣を消費した時点で生存に成功していれば、ゲームから解放される。 プレイヤー2人は交互に穴の番号を指定するが、指定する穴は自分の穴でも相手の穴でも良い。 このようなルールによって、互いの信頼に亀裂を入れて破壊する精神的なダメージ要素もある。 また、穴を指定できるのは生きている人間のみ。片方が死亡した場合は、その死体の入った箱の穴にも剣を刺せる。よって先に片方が死んだ場合はその死体に残りの剣を消費してしまえば自分は助かるということになる。 このルールは当然致命傷を負ってもう助からないことが明らかな人間にも、口が聞ける限りは適用される。なのでもし上記の作戦で自分だけ助かるために相手を先に殺そうとして即死しなかった場合・・・ 特殊ヘルメット (友情確認ゲーム「救出」) 友情確認ゲーム「救出」で使われるヘルメット。 リモコンのスイッチを押すことでヘルメット内部が狭まってくる特殊な仕掛けにより、頭が砕けて装着者を頭蓋骨粉砕の形で殺害可能な器具。 頭部粉砕には1分弱の時間が必要なために即死は不可能な拷問仕様で、頭蓋骨を壊される痛みを感じながら死に至る。 作中では光山に裏切られたチャンとマリオがこのヘルメットで頭蓋骨粉砕されかけるが、寸前でカイジによって阻止された。 マザー・ソフィー 「ワン・ポーカー」にてカードをプレイヤーに配布する装置だが、それだけではない。 ワン・ポーカーで一勝負に負ける度にプレイヤーの座席が失ったライフの分だけ負けた側に進む。 限界まで進むとそれ以上負けても進まないが、その後ろには穴が開いている。 手持ち資金を全て失った上で自身の命を賭けた勝負に負けた場合、そこから椅子に座った状態で逆さづりにされ、その後ベルトが収納され脳天から垂直に転落する。 一応の救済措置としてプレイヤーが持つリモコンで救出の網を出すことができるが、緩やかに回っていてタイミングよくもう一度ボタンを押して止めなければならない。 網の根元の角度は22.5度なので単純計算で助かる確率は8分の1だが、うまく芯に落ちなければはじかれ転げ落ちてしまうため、実際の確率はもっと低い。 そもそもこれは敗者を救うためのものではなく、相手のみにくい悪あがきを見るという和也の歪んだ愉悦のためのものである。 制裁(初級編) 三個一 『24億脱出編』にて、カイジの監視に失敗した部下に遠藤が施行した懲罰。 罰を与える者が一つ同じ食べ物を食した場合、罰を受ける者は同じ食べ物を三つ絶対に完食しなければならない。 一見楽そうに思えるが、仮に料理を1人前食べただけでも同じ物を3人前食わされる計算になるので、食べ物次第では成人男性でも胃の負担や味の感じ方的な面で相当キツい。 遠藤はケンタッキーのチキンを3個食したため、部下は9個も同じチキンを食わされる事態になり、流石に相当な辛さを感じていた。 初級編だけあって一定以上のダメージは受けにくいシステムになっているのが救いか(*2)。 拘束具 『中間管理録トネガワ』にて登場。兵藤がパワハラ対策として黒服と面と向かって話す道具として使用。 木製のギロチン拘束具的な拷問道具でしかないのだが、兵藤的には社員との関係を作り出す一環である。 ハラスメント相談室 こちらも『中間管理録トネガワ』にて登場した、帝愛におけるハラスメント対策の一環として設置された場所。 利根川は相談室から黒服の絶叫を確認しており、実態は相談室ではなく拷問室である可能性が示唆されている。 【拷問の分類】 大まかにこのようなパターンに分類できる。 ギャンブル中の要素としての拷問/拷問ゲーム →人間競馬、電流鉄骨(電流鉄骨渡り)、器官破壊装置(Eカード)、愛よりも剣、特殊ヘルメット(「救出」)、マザー・ソフィー(ワン・ポーカー) 制裁としての拷問 →焼き印、焼き土下座、血のマニキュア、制裁(初級編) 三個一、ハラスメント相談室 身体で払う際の拷問 →指ギロチン、欠損事故ルーレット その他 →兵藤和尊の腰掛け、兵藤和也プロデュース会員制レストラン、拘束具 追記・修正は、三個一を終えてから人間競馬に挑んで大怪我した後、器官破壊装置で鼓膜を破壊されてから焼き土下座を行った直後に欠損事故ルーレットを済ませた人にお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 追記修正できる奴いるんですかね… -- 名無しさん (2019-12-12 01 59 08) 流石に連続でやったら死ぬと思うんですがそれは -- 名無しさん (2019-12-12 07 03 27) 「ギャンブル」と「ゲーム」がごっちゃになってるし、人間競馬とかは除外した方がいいんじゃない?というか項目名も「拷問」よりは「罰ゲーム」とかの方がいいと思う。基本的に何かを聞き出すためにやってることじゃないし -- 名無しさん (2019-12-12 07 45 02) 「三個一」はもはやギャグだろ…。 -- 名無しさん (2019-12-12 08 09 06) 8割はギャンブルの一部で拷問じゃないでしょう。 -- 名無しさん (2019-12-12 08 44 27) 帝愛が主催しているとはいえ大喜びで見ている金持ちも多いのでよほどこの世界の金持ちは歪んでいるらしい。 -- 名無しさん (2019-12-12 10 12 35) 拷問の定義が「痛めつけることで加害者の要求に従わせること」なので、作中で拷問器具めいた、と言われていようが、用法としてはほぼ私刑じゃないか -- 名無しさん (2019-12-12 10 33 54) ハラスメント相談室しか拷問に該当するのは無いように見えるな -- 名無しさん (2019-12-12 10 38 16) 追記修正できそうなの両さんぐらいじゃないか。 -- 名無しさん (2019-12-12 10 54 45) ↑ 某漫画のデデデ大王もいけるかも -- 名無しさん (2019-12-12 20 19 28) キチンとチキン? -- 名無しさん (2019-12-13 00 07 12) 人の苦痛を娯楽に飯が食えるサディスト…狡猾、悪辣な蛇ども…っ よくよく逸脱してやがる…! -- 名無しさん (2019-12-13 03 06 29) モノクマのおしおきとどっちがキツいんだろう…… -- 名無しさん (2020-05-19 09 02 38) 器官破壊装置(Eカード)はどうだろうなぁ……トネガワかつ不確実な描写ではあるが当初からイカサマ装置として描写されてたし、あれ拷問すること(というかダメージを与えること)前提にはしてないような気が。 -- 名無しさん (2022-11-01 07 16 28) ↑11↑4 三個一は、ヤクザの親分はやたらと若い衆に飯奢りたがる(親父さんが奢るっつってんだから、どれだけ腹いっぱいだろうが断る権利も残す権利もない)って話が元ネタかな。 -- 名無しさん (2023-01-21 17 32 41) 電流鉄骨渡りはレースでもゲームでもなく、あくまで換金所までの道のりだけであって、落ちて死ぬ以外に失格条件はない。つまり、手を付いて感電することやしがみ付くこと自体は失格ではないという、のであれば抜け道は自分が着ているシャツを厚く手に巻いて直接手で触らないように掴んでしがみ付きながら渡ることか。事前に利根川にしがみつくこと自体がOKだと確認できればOKかな。 -- 名無しさん (2024-01-09 10 24 40) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/hazamahotel/pages/19.html
◆鞭打ち 馬上鞭や凶悪なものではスキニング・キャットなど、様々な種類がある。 作中グレンに使用するものは馬上鞭。 鞭の種類にもよるが凶悪なものなら10回も叩けば肉が飛び散り骨が見える。それ以上打ち続けると打たれた衝撃で骨も砕ける。 衝撃を軽くする濡らしたタオルの上から鞭を受けても、背中は真っ赤に腫れ上がるのが恐ろしい。 関係ないが、そんな処刑にも使われた悪名高い鞭が某国では子どもの躾に使われていたというから、死人が出なかったのか心配である。 ◆ギロチン 2本の柱の間に吊るした重い斜め刃を落とし、柱の間に首枷で固定した人の首を瞬時に切断する斬首刑の執行装置。 元々は斧や剣で処刑していたが、執行人の腕が悪いと死刑になる人間の首を一度で落とせず、何度も何度も斬り付けてやっと首が落ちるという悲惨なことも多かった。 また、裕福な者は腕の良い処刑人を雇って自分の処刑を楽にするなど、死の苦痛にも明らかな貧富の差が出てしまった。 これは良くないということで考案されたのがギロチンである。 貧富の差はなく、確実に、そして一瞬で首を切断するので痛みすら感じずに安楽で迅速な死を与えると言われている。 フランス革命において受刑者の苦痛を和らげる人道目的で採用され、以後フランスでは1792年から1981年まで使用された。 ロイクが処刑されたのもギロチン。彼の首にはギロチンで切り落とされた部分にぐるりと縫い痕がある。 ◆爪責め (針責め) 身体に針を刺す拷問。 手軽な上に流血などで死ぬことは絶対ないので安全といえば安全。 作中では膿んだりしないように消毒済みの針を使ってるので清潔。 特に多く拷問が行われる部位である指先には神経が集中している。爪と肉の間に刺されればかなりの苦痛。 利点は下の爪剥がしのように一度で終わらないこと。スパイに良く使われた。 (爪剥がし) 有名な拷問方法。 上の針責めをやった後に行われることが多い。 ナイフや適当な棒などで引っ掛けて一気に剥がすのが一般的。 運悪く鬼畜な拷問官に当たると、自分で剥がさせることもあるらしい。 視覚的にはこちらの方がショッキング。 針責めと爪剥がしは自白させる時に使われることが多い。 ◆リッサの鉄柩 諸説あるものの、プレスヤードからヒントを得て作られたらしい拷問器具。 『暗い、狭い、痛い』という最悪の拷問器具。 その様子からマイナーな別名に"葡萄搾り機"という名前もある。 鉄製の柩の下に足が付いたような物体で、柩の上には同じく鉄製の蓋がついている。 横にあるハンドルでネジ式の蓋が上下するようになっていて、柩は人一人が身体を丸めてやっと入るほど小さい。 軽い仕置きとして罪人を閉じ込めて晒し刑に使われたり、死刑囚を処刑する時にも使われた。 処刑する場合には数日かけて苦しめた後、蓋を下げ切る。 面白い使い方に、中の人が何とか呼吸できる程度まで水を入れたり、死なない程度に下で火を焚いたり、熱い炭を押し付けたりというものがある。 これについては非常に残念なことに資料が乏しかったので想像で描写している部分も多くある。 罪人が入る部分が樽型だったり、柩型だったり、蓋がネジ式だったり、蓋の自重で罪人を押し潰す式だったりと資料の中でもブレが酷い。 ◆ガロット 絞首用の椅子。 椅子の形にもよるが、多くは座高測定器に背凭れをつけたような形をしていた。その為に、別途手枷や足枷を用意しなければならなかったらしい。 それは面倒くさい上に、前後になら暴れることも可能なので作中では手足置き場のある審問椅子に似た形の椅子を使って、ガロット自体に手足用の枷がついて完全に動けなくしている。 基本的な使い方は、犠牲者の手足を拘束した後、鉄製の輪に首を入れる。鉄製の輪は後ろにネジがあり、これを締めると連動して輪が狭まって行くという単純なものである。 凶悪なものではネジを締めると連動して、首の後ろに当たる部分から太い針や刃が飛び出す物もあったようだが、これはほぼ処刑用。 作中で使っているタイプは、鉄製の輪が締まるだけのオーソドックスなものである。 資料によってとても拷問に使いやすいと言われていたり、すぐに犠牲者が死ぬから楽しめないし使いにくいと言われていたりする。つまりはどっちだ。 首を絞める為の鉄輪を調節する方法がネジ式で、適度に締めて固定できたというから個人的には尋問などの際なら使いやすいのではないかと思う。 ◆水責め 水を使った責め。タイプとして分けると、ひたすら水を飲ませるタイプと犠牲者を水に沈めて窒息させて責めるタイプに分かれる。 調子に乗ってやりすぎて体温が下がったり、水中毒に陥ったり、溺れて死んでしまうことが多かったので執行人の腕が試される拷問と言われることも。 作中ではホースを喉の奥まで突っ込んで強制的に水を飲ませている。 古くから行われていた水責めでは漏斗を口に突っ込んでそこに水を流し込むというものだが、今はホースという便利なものがあるので主にそちらが使われているらしい。 漏斗と違って喉の奥までホースを入れれば、吐き出すことも難しい。 まず、犠牲者は下半身が上半身より高い位置になるように傾いた台にロープなどでしっかりと固定される。 次に喉の奥までホースを突っ込み(胃に達するまで突っ込むこともある)、限界ギリギリまで水を胃に流し込んだ後にワザと腹を殴ったり、上に乗ったりして水を吐き出させる。 そしてこれを繰り返す。 嘔吐をひたすら繰り返すという苦痛に耐え切れず、あっさりと自白する人が多かったというが分類では予備拷問という比較的軽い部類とされていた。 我慢強い人でも、吐かされる水に血が滲む頃には泣いて自白するという。 似た拷問にワイン飲み放題というものがあるのだが、お金がかかりすぎることと、犠牲者がいざ自白をしようとしても泥酔してしまって呂律が回らず、いいことがひとつもなかった為に自然消滅したという。 ◆親指潰し器 親指を二枚の板で挟み、その板の真ん中にあるネジを回して指を締め付け最後には砕いてしまう拷問器具。 ずっと締め付けたままだと痛みが麻痺して苦痛がなくなって来るので、時々緩めることも必要。 片手のひらに収まるくらいの小型な物が多い為に持ち運びやすく、誰にでも使いやすいので愛用されてきた。 他の拷問に比べればそこまで怖くはないと思うかもしれないが、親指が使い物にならなくなるということは、その後の生活で物が全く持てなくなるということを意味していた。 その為、指を軽く挟まれただけで泣いて自白する人も多くいたらしい。 ◆焼印 鉄製の棒の先を火で真っ赤に熱してから、犠牲者の肌に押し当てるていう単純な拷問。 長い鉄の棒さえあれば出来るので、手軽な部類に入る。 押した時と、後の痛みは酷いが死ぬことは稀だった。 古い時代では、侮辱的なモチーフのものを罪人の肌の目立つ場所に押すこともあった。 刺青よりも手軽で尚且つ、効率的であった為に長く使われた拷問方法でもある。 ◆腸巻き取り機 犠牲者の腹部を少しだけ裂き腸を引っ張り出して巻き取り機に括り付け、ウインチを回して巻き取るという拷問。 視覚的なショックも凄いが、痛みも恐ろしい。 出血が少ない為、激痛にのたうちながら数日間生き続けることもあったらしい。
https://w.atwiki.jp/debichan/pages/29.html
※後から見直すとかなり酷い出来だったので初投稿の内容からだいぶ改変してあります。 きーんこーんかーんこーん 桜が丘高校の休み時間。 人気の無い一角で落ち合う二つの影。 茜「来ましたけど……さわ子先生。何の用ですか」 さわ子「やーっときたわね。ここ人来ないから、普段通りでいいわよ。……ま、とりあえずそこ座んなさい」 茜「……さわ姉、タバコ吸うんだ」 学校の喫煙所。がっしりした長椅子が二つ。 さわ子「昔はね。今はもう止めたわ」 茜「ぶりっ子してるもんね」 さわ子「うっさいわね。それより、何で呼ばれたか分かってる?」 茜「あの女に義理を立てるためでしょ」 さわ子「生意気言うし。そんなだから孤立しちゃうのよ」 茜「……別にいいもん。慣れてるから」 さわ子「あんたが良くても駄目なの」 茜「私の勝手じゃん……」 さわ子「お子様の勝手が信用できますかっての」 茜「……子供じゃないし」 さわ子「はいはい。……あたしが言いたい事は月並みよ『友達を作りなさい』これね」 茜「……はあ。さわ姉、私のキャラ知ってるでしょ?」 さわ子「もちろん。でも、その子のキャラだから~って簡単に諦める程、教師の仕事って簡単じゃないのよ」 茜「……作れ、って言われて作れるものじゃないし。先生って奴ら……いつもそうだよね。結果をせかすだけで何もしてくれない」 さわ子「そういう事言われると耳が痛いわね……。」 さわ子「でもあんた、友達作ろうって気はあるの?ちゃんと努力してる?」 茜「……私は一人でもやっていけるし、そっちのが良い」 さわ子「……あんたいつかあたしに言ったでしょ。さわ姉みたいな友達が欲しいって。……一人が良いなんて、本当なの?」 茜「……!」 赤くなる茜。 茜「……もう、あの時とは違うよ」 吐き捨てて、逃げるように去る。 さわ子「あ、ちょっと!まだ話は」 ………… さわ子「うーん、駄目か。ちょっと侮りすぎたわねえ」 「……あれ、先生?」 さわ子「あら、梓ちゃん」 梓「今の人……2年生ですよね?(なんで三年の先生が?)」 さわ子「うーん、ちょっと色々ねえ」 梓「…………」 後姿を見送る梓。 数日後 「はい、二人組み作って~」 体育の時間。 定番のグループ作りの掛け声がかかる。 桜ヶ丘高校では体育の時間は二クラス合同で行われる。 日程上都合の良いクラス同士が組み合わされるので、毎時間その都度合同するクラスが違う。 茜「……(体育なんて滅べばいいのに)」 今日は茜のクラスと 憂「じゃんけん、ぽん!」 梓「あいこで、しょ!」 憂「あいこで、しょ!」 純「あれれ、またあいこか」 「あいこで、しょ!」 梓「ううう、負けたぁ」 純「今日は激戦だったね~。それじゃ梓、頑張ってね」 梓のクラスの合同である。 梓と仲の良い憂と純は三人組のため、こうした機会があると三人の中の一人があぶれざるを得ない。 梓「しょうがないか……。あ、一緒に組まない?」 適当にまだ決まって無さそうな知り合いに声をかける。 「ごめんね梓。今決まっちゃったばかりなの」 梓達がもたもたしていた為、自分のクラスでは殆ど二人組みが決められつつあった。 仕方ない、隣のクラスから見繕おう。 あの人はいけそうかな。 目に留まった人物に声をかける。 梓「あの、二人組お願いできますか?」 茜「……え?」 茜は高身長で独特な髪色をしているため嫌でも目立つ。 梓が声をかけたのは自然の成り行きだった。 梓「もしかして、もう決まっちゃいました……?」 茜「……う、ううん。そんなことない」 めでたく二人組が誕生した。 転校生で引っ込み思案な茜は、既存のクラスメイト達の付き合いに割り込む事になんとなく気がはばかられ 自分から声をかける事ができず、結局一人ぼっちになってしまう事がよくあった。 茜「……ふう(良かった……助かった)」 安堵する茜の横顔を、梓は何となくひっかかる思いで見ていた。 あれ……この人どこかで……? 十数分後 茜「……親戚なの。オフでも、教師顔するからけっこう迷惑」 梓「そうなんだ!さわ子先生って面倒くさがりだから、そういうのちょっと意外かも」 茜「……たまにいい格好するんだ。ちょっとだけ「へえ」って思う事も言うよ」 梓「うわー。絶対想像できないなー」 人懐こい梓は茜に屈託なく話かける。 いつもは他人に心を閉ざしがちな茜も、徐々に梓との会話に饒舌になっていった。 茜「(この人……嫌な感じがしないな。いつもの奴らと少し違うかも)」 所属するクラスで避けられがちな茜にとって、事情を知らない他のクラスの梓との会話は 久々に気持ちの良いひと時だった。 茜「(……あ、臭いとか。したりしてないかな……?)」 芽生え始めた関係を壊すのを恐れて、茜は気をまわす。 吹けば飛ぶような繋がりだったが、目の前の笑顔を失われるのが怖かった。 梓「……それでね。先輩ったらいっつも」 梓は茜の内面など全く気づく様子もなく、よく喋り続けている。 梓「こうやってぎゅ~ってね」 抱きつく真似をしようと梓が茜にぐっと近寄る。 茜「あ……だ、だめ!」 ぱっと遠ざかる茜。 あまり近寄られるとまずい。 不潔な暮らしは決してしていないが、家庭の都合であまり頻繁に洗濯をする事は出来ない事情があった。 梓「?」 きーんこーんかーんこーん 時間の終わりを告げるベルが鳴る。 疑問符を浮かべている梓を他所に、茜は早々に帰ろうとする。 二人の距離が少し広がったあたりで不意に彼女は振り向くと 茜「……あ、あの、今日は……」 ありがとう。言うはずが、言葉が出てこなかった。 ぺこり 代わりに一礼すると、茜は足早に教室への帰路へつく生徒の群れに消えていった。 梓「なんか面白い人だったな……」 梓の知り合いには茜のようなタイプはいない。 ひねた感じだが、言葉の端々に照れるような響きがあってちょっとだけ可愛らしい。 三浦茜さんか……。 頭の中であの女の子の名前を記憶に刻むように確認すると、梓は入り口で手を振っている憂と純を見つけて、彼女達の方へ歩みだした。 数日後 茜「ショートケーキプディング……(じゅるり)」 売店。スイーツコーナー。 茜「(280円……ボーダーの二倍以上)……無理か」 茜「(どうしてこう洋菓子って高いのかな)」 諦めて一番安いサンドイッチを二つ買ってチェックアウト。 ご飯を食べる場所を探す。 私は人ごみが苦手だ。特別教室棟へ行こう。 昼休みは空く場所。 茜「……(いまいちかな)」 長椅子に一人腰掛けて昼ご飯。 タマゴ味を選んだのだが、具が想像より少ない。 茜「…………超おいしい」 一人ぼっち、まずいご飯。 あまりに情けない。嘘でも華やかな気分が欲しかったのだが……。 茜「……駄目か」 余計情けなくなるのだった。 ~♪ 茜「……あ」 どこからともなく音楽が流れてくる。 私がここにいる理由。 巧拙は兎も角、それは楽しげな調べだ。陰鬱なお昼のひと時が少しだけ明るくなる。 演奏者はどんな人達だろう。 毎日通い聞くうちに、すっかり茜は演奏する見知らぬ人間に憧れを抱くようになっていた。 想像が膨らむ。 茜「……」 自然と中断するご飯。流れてくる音に身を任せる。 知らぬ間に体でリズムなんかとっている。 こんなの私のキャラではないのだが。 少しして演奏が止む。 今日はハーモニーする音が少なかった。 何かあったのかな。 目をあけると、そこにさわ姉がいた。 くそ、見られた。 普段警戒心の強い茜は無防備な姿を見られて、ちょっとだけ赤面する。 さわ子「あら、お目覚め?」 茜「……そういうの、失礼だと思うけど」 さわ子「いや、めったに見れないものが見れたからついね。」 教師が昼休みに特別教室棟に来る事は珍しい。 散歩か。 茜「あんまりウロウロしてるとイメージ悪いよ」 ゴミをまとめて立ち上がる。もう教室へ帰ろう。 さわ子「ちょっと待った」 茜「……何」 さわ子「説教もなんか違うしね。ちょっと、ついてきなさい」 また一方的だ。何のことだか分かりゃしない。 さわ姉は歩き出す。後方確認も何のその。ばっくれようか。 少ししてドアの前でストップ。 茜「……けいおん部?」 札が下がってる。営業中らしい。 さわ子「誰かいるー?」ガラガラガラ 唯「あ、さわちゃんだ」 紬「珍しいですね。何かあったんでしょうか?」 さわ子「ちょっとね、この子の面倒を見てほしいのよ」 紬「?」 既にあたしは後ろにいない。 こんなお見合いみたいなもの、冗談じゃない。 物陰から逃げようとしていると首根っこを掴まれた。 さわ子「これね。これ」 力ずくで引き出される。。 もやしにこういう時抗う力は無い。 私よ、もっと肉を食おうか。 唯「あれ、先生の知り合いなの?」 さわ子「あら、どうして?」 唯「だって今、『おほほほ~』って感じじゃないじゃん」 さわ子「ああ、そうね。これは親戚の子なのよ」 さわ子「ほら、挨拶して」 いきなり連れて来て挨拶しろ? 理不尽だ。 私はペットのインコじゃない。 憮然とした表情の茜。 下を向いている。 茜「……二年の三浦茜です」 ごにょごにょ。 最低の挨拶だ。 一般的に100点満点で言えば採点不能で用紙を破かれるレベル。 でも二人は気にしていないらしい。 紬「三年の寿紬です」 柔らかな動きでしっかりとお辞儀。明らかに育ちが良いな。 おっとりした感じの人。 綺麗な声をしていて、むしろ合唱部が似合いそうな気がする。 唯「平沢唯です!」 屈託の無い表情でまっすぐこちらを見てくる。そしてなぜか敬礼のポーズ。 こっちの人は可愛らしい感じ。 先輩というよりぬいぐるみみたいな感じがする。 やわかそう。 紬「とりあえず、こちらへどうぞ」 椅子を引く。 茜「……はあ」 さわ子「なんでもいいからその子と話してあげて。あ、あれだったらけいおん部に入れてくれてもいいから」 無責任な事を口走りつつさわ姉が出て行こうとする。 唯「ほんとに!?さわちゃんありがとー!!」 唯という人が飛び跳ねて喜ぶ。 いや、私に言えよそれは。 というか、入らねーよ。 さわ子「その子達よ。さっき演奏してたのは」 え?ビックリして硬直する。 さわ姉は思い出した様にそれだけ言うと、忙しそうに戻っていった。 けいおん部って音楽部のことだったのか。 紬「お口に合うか分からないけれど……」 茜「!?」 紬という人がケーキと紅茶を差し出す。 え?また硬直する。 ここは何?このケーキは何のつもりなの? あれか、お金とかとられるのか? サイフには余裕なんかないのに。 それともさわ姉が奢ってくれたんだろうか。 ていうか学校で喫茶店?? 色々疑問は浮かんだけれど、私はそれらを考える前に反射的にケーキを口にしていた。 どれだけ飢えてるんだよ私。 茜「……あ、これ」 紬「お口に合わなかったかしら?」 心配そうな表情。 お口に合わない?……先輩、冗談は眉毛だけにして下さい。 なんか、あの、すごく、とっても、おいしいです。 でもボキャ貧。 茜「……おかわり、とか、あの?」 小さな声。真っ赤になって慎重に追加注文してみる。 その前に聞くことが山ほどあるだろうに。 何やってるんだろ私。 横に積み重なっている皿の山。 喫茶店の情緒ぶち壊しな風景だ。 喫茶店じゃないけど。 唯「わ、わたしの明日のケーキが……」 食べ過ぎて備蓄に手を出してしまったらしい。 しまった。調子に乗りすぎた。 憧れの人達の前だったが、食べ物を前に我を忘れてしまっていた。 紬「大丈夫よ唯ちゃん。また明日持ってくるから」 茜「……あ、その」 紬「気にしないで。すごく美味しそうに食べてたから、私も嬉しいの」ニコニコ 眉毛の先輩が皿を片しながら言う。 毛ほども気にした様子はなく、本当に嬉しそうだ。 女子高生離れした包容力を感じる。 こんなお姉さんがいたら幸せかも……。 唯「もう!そんな食いしん坊な奴は……こうだ!」 茜「きゃっ!?」 突然抱きつかれた。 私の図々しさが怒りを買ったのかと一瞬青くなったが、口調は悪戯だった。 そして言葉に反して優しく私を抱きこむ。 柔らかくて、暖かくて、良い匂い。 夢見心地になって、本気で体を預けそうになる。 この感じ、何か懐かしい気がする……。 茜を抱きとめた腕の感触は、突如忘れかけていた古い記憶を呼び覚ました。 そういえば……これは。 「お前、細長くて気持ち悪いんだよ」 「いつも汚い服を着てるし、髪の毛も何か湿ってて嫌」 「体から変な臭いがする」 きっかけは些細な事だった。あれは小学校の参観日だったか。 誰かの母親だった。とても綺麗な人で、落ち着いた物腰のお嬢様といった感じだった。 それだけではとり立てて驚くような事ではなかったが、遅れて教室へ入ってきた私の母親がいけなかったのだ。 後ろに立つ彼女の体は、ひょろりと細長く、所々が骨ばっていて肌はザラついていた。 纏っていたのは色のくすんだヨレヨレのブラウス。 件の綺麗な人と並ぶ形になった為、子供達の興味を容易に引き寄せた。 放課後にはその話で持ちきりになる。 「あの宇宙人だれの親だよ?」 「知ってる!あの人茜ちゃんのお母さんだよ!」 「うわ……本当に?」「そういえば茜って……」 ………… 私は泣きながら家へ帰った。悲しいというよりも悔しかった。 それまでの私の日常を母が壊したのだ。 理不尽な仕打ち。全て母親が悪いのだ。臭くて汚い母親が。 帰って泣き喚く私を抱きとめる母の愛情も、ただ逆効果でしかなかった。 私の背中に回される腕。やめて。私を離して。私を一緒にしないで。 私は違う。臭くて汚い宇宙人の親子。違う。 私は違うんだ。この人だけなんだ。 私は、私は違う人間なんだ。 それでも私をより一層深く抱きしめる母親の腕。寄せられた肩口からむわっとした臭気が鼻をついた。 やめて………… 背中に回された腕が離れない。 やめて…… 母親の汚れが、私に染み込んでいく。 茜「……やめて!」 忘れようとしていた最悪の記憶がフラッシュバックし、抱きとめる腕から逃れようと限界の力で振りほどく。 ビクリとする唯。 暴力とは到底縁の無い彼女は、こういう仕打ちに耐性が無い。 唯はショックを受けた様子で、明らかに表情には怯えが走っていた。 茜「(あれ……私)」 我に返った頃には、悪夢は既に消えていた。 しかし、代償は大きかった。 あ……まさか。 背中に感じた温もりはもう無く。 まさか私は、やってしまったのか? 振り向くと、私に獣でも見るかのような恐怖のまなざしを送る先輩の顔があった。事態の大よそに理解がいく。 取り返しの付かない事をしてしまった。 罪悪感で目の前が暗くなる。 あ、謝らなくちゃ。 口を動かそうとするが、言葉が出てこない。 そういえばもう幾分「ありがとう」「ごめんなさい」この類の言葉を使わなくなった気がする。 長く使われなくなった言葉は錆付いて、喉の奥に引っかかったままだった。 ただ気まずい沈黙が流れる。 唯「あ……あの、ビックリさせちゃった?」 不意に長い沈黙を破って、確かめるように先輩が問いかけてくる。 話しぶりは先ほどとは打って変わって緊張している。彼女の顔には未だ恐怖が貼り付いていた。 違う。 驚かせてしまったのは……傷つけてしまったのは私だ。 ……来るんじゃなかった。私なんかが関わるんじゃなかったんだ。 唯の言葉へ返事の代わりにぎこちなく頭を下げて謝意を示すと、茜は飛び出すように音楽室から去っていった。 梓「こんにちは~」 いつも通り音楽室に入っていく。 今はテスト期間中で時間割が変則的だ。 午前にはテストがあって、今日は昼で放課。 いつもより沢山部活が出来る事に胸がときめいている。 律先輩と澪先輩はテスト対策のためセットでお休み。 相変わらずあの二人は仲が良い。 紬「あ、梓ちゃん。こんにちは」 唯「……あ、あずにゃん」 梓「唯先輩……?どうしたんですか。なんかいつもと違う様子ですけど」 唯「う、ううん。何でもないよ」 ? やはり違和感がある。 梓「そんなの嘘です。先輩何か隠してますね?」 学際のライブ前に風邪をひいた先輩を思い出す。 変なとこで無理する人だからなあ。 ここはちょっと強めに押さないと。 梓「駄目です、話して下さい!」 紬「待って、梓ちゃん。事情は私から話すわ」 何故かムギ先輩が割って入る。 あれ、何か想像と違う事情みたいです……? 紬「……ということなの」 梓「ちょ……なんなんですかその人は!」 梓「いきなり現れて散々食べて暴れて謝りもせず逃げた!?なんで人そんな人がけいおん部にいるんですか!」 素敵な先輩達に気の合う友達。今までわたしの高校はとても居心地のいい場所だった。 そんな場所で耳にした暴挙。信じられない。しかも、よりにもよって私の最も大切な場所でだ。 さわ子先生はそんな乱暴な人を連れてきて、何のつもりなんだろう。 私と唯先輩、律先輩、澪先輩にムギ先輩……。 私達五人が泣いたり笑ったり喜んだり……色んな出来事を共に歩んできたけいおん部。 楽しく何よりあったかくて、私の高校生活の拠り所。大切な思い出を育む場所。 この領域はたとえ家族・親友の誰かでもみだりに犯す事は許せない。 話に聞いたその人は私の大切な領域を土足で踏み荒らしていった印象を受けた。 唯「あ、あずにゃん……?」 声を張って怒る私に、そっと伺うように声をかける。 梓「その人はなんていう人なんですか?さわ子先生に抗議に行ってきます!」 紬「……でも」 躊躇している先輩達。 唯先輩もムギ先輩も温厚だからこういう事を好まない。 もちろん、私だって好きじゃないよ。 でも、ここだけは譲れない。 梓「先輩!」 紬「……確か、三浦茜さんと言っていたわ。」 梓「!?」 一瞬聞いた覚えのある名前だと引っかかり、ワンテンポ遅れて完全に思い出した。 あの体育の時間の子だ。 嘘。そんなに悪い子には見えなかったのに……。 怒りが萎えかかる。 唯「ね、ねえ梓にゃん、そんなのもういいよう。私は別になんともないから」 唯先輩の調子は明らかにおかしい。 怯えるような弱気な声音は梓にも容易に感じ取れる。 普段無邪気な唯に振り回されている梓だけあって、今の唯の様子は一層痛々しく見えた。 浮かんでくる茜の顔は、唯の悲しそうな表情を見て完全に立ち消えた。 ううん、関係ないんだ。どんな人だろうと許せない事はある。 梓は葛藤を無理やり振り切ると、音楽室から出て行った。 職員室。 さわ子「……あんたねえ。会話がうまく出来ないのは仕方が無いとしても、逃げ出しちゃ駄目よ」 茜に説教するさわ子。 さわ子「友達っていうのはねえ、他人とは違うの。お互いに、自分をぶつけて、相手を受け止めなくちゃいけない。 相手の幸せな気持ちも傷ついた心も、しっかりあなたが抱きとめて確かめなくてはいけないわ」 さわ姉が教師らしい事言ってる……。少し感心したが茜の心は沈んでいた。 さわ子「よくあるキャッチボールの例えよ。あんたが逃げたら球は転がってくしかないの」 茜「……どうせまたすぐ転校するし……いいよ、そういうの」 完全に捨て鉢な気分。 茜「たとえここでうまくやれても、どうせ何も無くなっちゃう。疲れるよ」 説得にかかるさわ子を突き放す茜。 口調はいかにも投げやりだった。 さわ子「……あたしはあんたと同じ境遇で育ったわけじゃないから、悔しいけどそこに対しては何も言えないわ。」 茜の家庭事情を知るさわ子に、彼女の諦念は十分理解できた。 さわ子「でもね」 付け足すように言う。 さわ子「あたしはあんたが疲れて諦めても、自棄になって全部放り投げても……あんたに世話を焼く事は諦めたりしないわ」 「あたしがぶつける思い……受け止めて、投げ返す気はない?」 ピクリと眉を動かす茜。 何事か思案している様子だったが、やがて無言で退出していった。 さわ子「……手応えあるんだかないんだか」 入れ違いに梓が入ってくる。 梓「先生!」 さわ子「あら、珍しい」 二年の梓が尋ねて来るということはけいおん部のことだろう。 恐らく茜のこと。 梓「三浦茜っていう人、けいおん部に連れてきたのは先生ですよね?どうしてあんな人を入れたりしたんですか?」 開口一番、気色ばむ梓。 若干間を置いて、さわ子は困ったように言う。 さわ子「あいつがやらかしちゃったみたいで、ごめんね梓ちゃん。……でも、もうちょっとだけ、様子を見てあげてほしいの」 拝むようなポーズで頼み込むさわ子。 梓「そんな事いっても……!」 さわ子「私だけじゃ力が足りなくて……けいおん部の力を貸して欲しいの、お願い!」 お茶会以外の事で哀願するさわ子ははじめて見た気がする。 眉をひそめる梓。一体どうしてあんな乱暴な人をけいおん部が受け入れなくてはならないのだろう。 梓「先生は……」 疑問に途中まで何か言いかけるが、梓は結局何も言わぬまま職員室を出て行った。 もし訊いていれば納得がいく事情が得られたかもしれないが、成り行きで新入部員を入部させる事になる気がした。 それは一瞬だけ宿ったほんの小さな感情で、彼女自身が明確に存在を認められるものではなかったが 梓は、彼女が一身に受けていたけいおん部の先輩の愛情が、新入部員に注がれる様を想像して嫉妬していた。 彼女には今のけいおん部で十分だった。 梓「もうけいおん部に近づかないで下さい!」 職員室を出た梓は茜の後ろ姿を見つけていた。 先生に言って駄目なら、本人に言うしかない。 かつて話した時の茜の笑顔が脳裏にチラついたが、無理やり打ち消して声を上げる。 唖然とする茜。 目の前にいるのは中野梓。あの体育の時間一緒になった子だった。 久々の暖かい時間。忘れるはずもない。人懐こい笑顔。 そんな子が、今自分を非難している。 この子……けいおん部の部員だったんだ……。 血の気が引いていく。 梓「あ、あなたの乱暴で唯先輩が傷ついたんです!さわ子先生は庇うようですけど、 あなたのような人はけいおん部にきちゃいけないんです!」 少しでも止まれば怒りが鈍る。 梓は思い切ったように、まくし立てていた。 気圧された様子の茜だったが、「何か言わねば」焦って出た言葉は 茜「……私だって、もう行く気ないし」 バカな選択だった。素直に謝れない茜。 口をついて出た言葉は、最低の自己弁護である。 先ほどさわ子へああいった手前、偽りの自分を貫くしかなかったのだった。 茜の発言を受けて、当然のように梓は更に怒る。 梓「どうして!?あんな純粋な人を傷つけて何にも思ってないんですか!!?」 茜「わ、私だって!」 傷つけるつもりはなかった……そう言おうとした言葉が発せられなかった。 ここで彼女に弁解したとして、何があるだろうか。 自分で認めた筈だ。けいおん部の事はもう終わった事だと。転校すれば……関係ないんだ。 茜はいつものように目の前の関係を諦めた。 梓「……失礼します」 茜が何も言おうとしないのを見ると、吹っ切れたように足早に去っていった。 茜「ただいま」 暗い家の中。一般的に見ればそれは家とは言わないかもしれない。 しかしそこは紛れもなく彼女の帰る場所だった。 当然のように母親は待ってはいない。 冷たい静寂と暗闇だけが、茜を出迎えた。 部屋にはすべり台がある。とんでもない事だが、ここは室内公園にある児童室だ。 今は茜の部屋になっている。 茜「もう、疲れた・・・かも」 誰もいない空間に一人呟くと、鞄を投げ捨ててベッドに倒れこんだ。 諦める事には慣れていた筈だったが、今日の出来事は予想以上に大きな苦痛を彼女へ感じさせた。 もう何もかも忘れて、眠りたい。 母親にも友人にも頼れない彼女にとって、暗闇こそ拠り所だった。 傷つく度に癒しを求めて体を預ける。彼は何も言わないが、何も彼女を責めない。ただそれだけで良かった。 日常の煩雑な記憶が無限に広がる黒い色と静寂へ吸い込まれていく。 気が付くと真っ暗になっていた。 だいぶ眠ってしまったらしい。 だが母親はまだ帰ってきていない。 もう一度ベッドに伏せるが、もう睡眠は十分だった。 再び学校での出来事が頭に浮かんでくる。 茜「あの人……怒ってた」 梓の笑顔。あの時は壊さないように細心の注意を払ったが、馬鹿馬鹿しい。結局ぶち壊してしまった。 可愛らしい笑顔の中野梓。昼間の素敵な音楽の時間。 何も無くなった。 茜「……やっぱり、私にはここしかないのかな」 散々嫌悪してきた母親。その家。 逃れようと飛び出しても、いつの間にかやはりそこへ戻ってきている。 わたしは違う。違う筈だった。 だが現実に今も彼女は避けられて、ここしかない。 悲しくても慰めてくれる友達はいない。惨めな親と共に傷を舐めあうように抱き合うしかないのだ。 私は結局、宇宙人の娘だった。 漠然として、ただ時間だけが流れる。 ふと思う。 茜「私って……何で生きてるんだっけ」 口に出して言ってみる。 何に期待して、毎日惨めな思いに耐えて、命を維持しているんだろう。 あんな美味しくないご飯を食べてさ。 不意にあの学校での昼食のひと時が思い出された。 愉快で浮き浮きしてくるような音色。 今はもう無い、最近ちょっとだけ大切に思っていた時間。 私の沈んだ気持ちを引き上げてくる、魔法のようなメロディ。 音楽、か。 わたしにもあんな音が出せたらな……。 遠くを想うように窓の外を見つめていた彼女は、突然弾かれたように立ち上がった。 そういえば……。 たしか、小さい頃父さんに貰ったあれがあった。 一階に降りて母親の荷物に手をつける。派手に散らかし漁った末、ついにそれを茜は見つけた。 銀色の金属光沢を放つその管は、複雑に捻じ曲げられて特徴的な形をとっている。 ユーフォニアムと呼ばれる金管楽器だった。 手にとって、宝石のように慎重に扱い、磨くようにゆっくりと撫でる。冷たいけれど気持ちの良い触感。 ここで吹くのだろうか。 マウスピースを見つけると、おそるおそる口をつけて、力を入れ吹いてみる。 ブフゥ~…… 酷い音だった。でも初めて自分の鳴らしたその音が妙におかしくって、中々耳から離れなかった。 静かで冷たい部屋が、間抜けな音でちょっとだけ明るくなる。 不思議な手応えを感じた。 ブフォー 二度目のそれも相変わらず可笑しな音で、全く様になる様子はない。 それでも茜は初めて触れる音楽に魅了されていた。 その日の茜の部屋は、一晩中明かりが絶えなかった。 茜「わたしだけの……音」 翌日 二年の教室。机に伏せて窓の外を眺める茜を遠巻きに、小さな集団が出来ている。 「なんかさあ、集会で目立つのよねえ」 「ピンク色のデカいのでしょ?w」「頭一つ出てるんだよねえ」 「つーかあれ、いっつもごにょごにょしてて何語喋ってるか分かんないわ」 「あの生物ねw」「なんか変な臭いがするのよねえ」 いつもの風景。聞えよがしに口汚く攻撃してくる。 うるさい。デカいのは遺伝だ。 臭いのは家に風呂がないからだ。銭湯高すぎるし。 ピンク髪は……なんでだろうね。私もわかんないってのバカ。 いつもはそうやって頭の中で反論するのだが、今の私にはそうする気は起きなかった。 私の鳴らす楽器の音色は不細工だ。しかし彼女達の口が鳴らす雑音ほど汚れてはいない。 あいつらはそうやって醜い音を集めて自分を満たしている。だが私はもっと穢れの無い音を集めて己を満たすのだ。 愉快な気持ちになっていた私は、つい口が滑ってしまった。 茜「……バカみたい」 偶然、見つけてしまったのだった。 三浦茜、と……そして、梓が知らなかった世界。 お決まりの校舎裏だった。 囲まれて、突き飛ばされて、鞄を漁られる。中身を側溝にぶち撒けられていた。 これまたお決まりの流れだ。 棒立ちで、見守るしかなかった。 今しがた美味しいケーキと紅茶を口にして、大好きなギター演奏を終えて、幸福感に包まれたまま家路につこうとする。 まさにその途中だった。 私の知っている人が、ドラマみたいな展開で、紛れもなく虐められている。 その事実は梓に大きな衝撃を与えた。 足が動かない。ただ遠くにいる茜を見つめるしかなかった。 こんな時に唐突に理解する。先日見せた茜の表情、そして今見る茜の表情。 彼女の胸中は惨めさで一杯だったのだ。 やがて、遠くから見つめている人物に茜が気付き、梓と茜の視線がぶつかった。 それからの事は、よく覚えていない。 私はその日から二、三日の間、殆ど上の空だった。 さわ子「あの子がどんな子か知りたい??」 黙って頷く梓。 さわ子「うーん。……人見知りで、甘えん坊で、生意気ね。あと負けず嫌い」 「とんでもない母親に小さい頃から放ったらかされてきて、学校もしょっちゅう転校して友達は0よ。そりゃー捻くれるわね」 さわ子「納得した?」 首を横にぶんぶん振る。 さわ子「そうよね。伝聞じゃ何も分かってないのと一緒なのよ」 さわ子「あの子に直に触れて、自分で確かめてみて」 言われた事を自分の中でじっくり考えている様子の梓。 さわ子は一人呟くように続ける。 さわ子「私はけっこうあいつの事好きよ。出来の悪い妹みたいで」 さわ子「……でもそこまでなの。姉みたいな存在」 さわ子「あの子が心から欲しがってる人。……私じゃ無理なのよね」 梓を見つめるさわ子。気のせいかもっと後ろを見ている気がする。 梓はその視線に気が付くと、思考を纏めて答えようとする。 目の前で痛めつけられる知り合い。見て見ぬふりをして、美味しそうにケーキを食べる。幸福な生活を送る。 そんな事が出来るだろうか。考えるまでもない。 ここで三浦茜、彼女に触れてみなければ、私が今まで大事にしてきた暖かいものすべて、偽者になってしまう気がする。 梓「よく、分からないですけど……。私、あの子と話してみたい。確かめてみたいんです」 言葉にする事で梓の気持ちは固まった。 あとは茜に会うだけだった。 さわ子「……わかったわ。しっかし、私も駄目姉で駄目教師ね。結局生徒任せだなんて」 さわ子はメモ帳にペンを走らせながら、悔しそうにひとりごちていた。 梓「うわー……これは」 市の室内公園の近くにある河原。人気は薄く、土手では茜が一人楽器を吹き鳴らしている。 演奏は率直に言って下手だった。 梓は金管楽器を扱った事は無いが、正直リズムの取り方から指さばきまで、センスが感じられない。 しかし茜の後姿はそんな事を気にする事も無く、ひたむきに練習に励んでいる。 私も初めてギターを触った時は、あんな感じだったかな……。 合間を見て近づく。後ろからこそこそと、大分不審な感じだ。 おそるおそる声をかける。 梓「あの……茜、さん」 茜「!?」 振り向いた目が点になっていた。 なんでこの人がここに? 茜が今、最も関心を寄せる人物。ただそれだけに今最も会いたくない人物でもあった。 先日に目撃された痴態は、茜の梓に対する想いを暗く染めていた。 今、茜は劣等感で一杯だった。 茜は顔を背けると、そ知らぬ振りをして立ち去ろうする。今私は何も見なかった。もう終わってるんだ。何もかも。 茜は梓がたまたま用のついでに茜を見つけ、声をかけてきたものだと思っていた。 何を言われるのか。梓には先日最も見られたくない痴態を晒している。けいおん部を荒らした私の惨めな姿を見て、いい気味だと罵りに来たのだろうか。 場所を変えよう。 件の昼時の音楽。考えて見るとあのギターの音色は梓のものだったのだろう。 演奏者として圧倒的に上の梓を前に、下手糞な音を鳴らすのは嫌だった。 梓「ま、待って下さい!」 振り切れると思っていたものが、後を追って走ってきた。 どうして追いかけてくるの!? 金輪際触れたくないと思いつつも向こうから近寄ってくる梓は、もう茜にとって恐怖の対象ですらあったかもしれない。 次の瞬間、茜も釣られるように走って逃げ出していた。 小さくて可愛くて友人や先輩に愛されて、音楽の才能に満ちてた中野梓。茜とは正反対の人物。 もう触れて火傷するのは嫌だった。 彼女の目の前にいると、それだけで宝物のユーフォニアムも良く見ればおもちゃのような安物に見えて そんなものだけを大事そうに、誇らしげに吹き鳴らしていた今までの自分がとても恥ずかしく思えた。 加えてこの前は事情を知らない梓が相手だったから気軽に話せたが、虐めの現場を見られた今となっては話は別だ。 今更何を言っても格好はつかない。身分の差が明るみに出てしまった。 虐められて、一人寂しく安い楽器で下手糞な演奏に逃避する女。 茜は自分という存在が下劣に感じられて、梓から逃げ出すしかなかった。 梓「話を……聞いて、下さい!」 そもそも近づくなと言ったのは自分だ。彼女の恥部を目撃してしまったのも自分だ。 今、彼女が逃げ出すのは他でもなく自分のせい。 関係を断ち切ろうとする茜を、梓は必死で繋ぎ止めようと追いかけていった。 茜「……も、もうやだ」ハァハァ 茜には元々それほど体力は無い。 さらに楽器を庇ったままの不安定な走行。 逃避行はすぐに終わって、茜は地面に座り込んだ。 梓はへたっている茜に近寄ると、肩で息をしながら口を開いた。 梓「わ、私の話を……聞いて、くれませんか?」 梓は出来るだけ穏やかに問いかけたつもりだった。 それでも先日激昂する梓のイメージが強く焼きついていた茜には、それは更なる混乱を呼ぶ引き金にしかならなかった。 近寄ってきたり、突き放したり。私をいいように揺さぶって……私がその程度の事でもどれほど深く一喜一憂するか。馬鹿にしやがって。 そうしてまた近寄ってくるの?今度はどれだけ喜べばいいの?そして次はどれ程悲しめばいいの? いつもは外からの刺激に殆ど無感動で取り合おうとしない茜だったが、今しがた心の拠り所が失われた為に、それに依存していた心は宙吊りになっていた。 そして彼女の我慢は限界を迎える。 茜「なんでよ!?もうけいおん部には近づかないって言ったじゃん!」 今までに無い鋭い口調で茜は大声をあげた。 突然の爆発にぎょっとする梓。 茜は錯乱したように続ける。 「あたしを馬鹿にしに来たの!?こんなガラクタ大事にしてて悪い!!?」 「売店の廃棄貰って何がいけないのよ!!乞食だのホームレスだの好き勝手いいやがって!!!」 「臭い臭いってあんたたちに何が分かるのよ!?当たり前のように幸せがあるあんた達に何が分かるってのよ!!!」 既に梓一人への叫びではなくなっていた。次々と噴出する不満をぶつけられ、梓は呆気にとられるしかなかった。 「……ちょっとぐらい踏みにじられたからって何なのよ?あたしには、踏み込んで欲しくない場所なんて、ひとつも持てなかった……」 徐々に小さくなっていく罵声は、やがて消え入りそうな声でそう告げると完全に沈静化した。 暫くの間、二人は無言だった。 今何を言っても、彼女の気持ちを足蹴にしてしまう気がする。 梓は彼女の気持ちを推し量りながら、ただ黙っていた。 どれくらい時間が経ったか分からない。 茜は不意に口を開いた。 茜「……もう、帰りなよ」 不快だから消えてくれ、というよりも、梓の時間を心配しているような調子の言葉だった。 無言の時の間に、梓の茜を労わるような雰囲気を、茜は感じ取っていた。 梓には時間などもうどうでも良かった。 梓「あの……」 時を置いて梓が口を開くと、茜はそれまで決して梓に向けなかった顔を僅かに彼女の方へ寄せた。 梓「ごめんなさい。……私、けいおん部のことで頭がいっぱいで」 考えながら話している様子で、少しずつ言葉を繋いでいく。 梓「あなたがどんな人かなんて、どんな事情があったかなんて、あの時は考えもしなかったんです……」 今度は若干梓の方が卑屈になって話す。 梓「私が見たあなたは辛そうに見えるけど、でもそれでも私は、何も貴方の事を分かっていないんだと思う」 そこまで言うと、下を向きながらつぶやくような調子を止めて、茜を見つめる。 肩で息を整えて、はっきりとした声で言った。 梓「私、あなたともう一度話してみたい!」 ビクリとして、梓の方を慎重に、しかし正面から見つめる茜。 今まで茜が生きてきて、初めて彼女へ向けられた類の言葉だった。 真新しい玩具を与えられた幼児のように、困惑しつつも彼女から目が離せない。 ややあって 茜「……私なんて、見たままの人間だよ」 ゆっくりと、未だ諦めた調子は残っていたが、殆ど問いかけるように言う。 複雑な事情を背負っている茜。 本当の事を言うとわからない。彼女を受け止めるのがどれほどの事なのか。 でも私は、関係ない世界があるって目を閉ざしたくはない。 それに、関係ない世界、私と違う世界。そこには私の知らないものが沢山ある。 自暴自棄になっているけれど、実は私が持っていない物を一杯持っている、素敵なこの女の子と話をしてみたい。 梓「そんなの、全然関係ないです」 「私は……茜と、話がしてみたいの」 1週間後 茜「で、でもさ梓。本当に私なんか……いいの?」 梓「大丈夫だよ。けいおん部の先輩はみんな図太いんだから」 律「ほほう?誰が図太くていい加減で大雑把だからパスだって?」 梓「わ!!律せんぱ ぷぇっ!?」グリグリ 茜「……あ、あの」 律「おう、唯から聞いてるよ。三浦茜ちゃんだろ?ちょっと食いしん坊できかん坊の」 茜「……ご、ごめんなさい」 律「気にしすぎだって!唯もああ見えてタフなんだから。嫌な事なんて次の日にはケロっと忘れてるんだぜ」 可笑しそうに先輩が言う。 あれから私は梓と付き合いを始めた。 友達というのかまだ分からないけれど、今では私はもう逃げずに梓と向き合うことができる。 今日はその梓がけいおん部へ私を連れ来てくれた。 新入部員の紹介だとか言ってたな……。 今なら入っても、いいかも。 でもユーフォニアムって、実際どうなんでしょうかね。 律「さ、入った入った。」 律という先輩の先導で入り口から音楽室の中へ通される。 今日はあの時より人が一杯いる。なんか恥ずかしいぞ。 ていうかあの……そろそろ梓を離してあげた方がいいんでは。泡吹いてますけど 澪「お、その子が新入部員の子だな。初めまして、秋山澪です」 紬「いらっしゃい。茜ちゃん」 みんな暖かく迎えてくれる。なんだろうこの感覚。 知らぬ間に涙が出てきそうになる。ガラじゃないって。 唯「お!」 奥にいたあの人と目が合う。 相変わらず真っ直ぐな瞳。たまらずに目を反らす。 しかし彼女は気にせずにぴょんぴょんと跳ねるように私に近づいてきた。 唯「こんにちは!」 茜「あ……あの、この前は」 唯「はじめましてだね!」 茜「え?」 律「ほらな、すっかり忘れてる」 そ、そうか。あの時のことはすっかり……それは良かった……。 でも、ちょっとそれは……寂しいかも。 ショックを受けたような顔を隠せない私をよそに 唯「うそうそ。ちゃーんと覚えてるよ」 律「シシシ。ビックリしてる。茜ちゃん、なかなか良いリアクションだぞー」 茜「……そんなの、いじわるです」 苦笑して言いながら、目じりの涙をぬぐう。 流れてくる音色を聴きながら一人寂しく想像を膨らませていた、あのイメージ。 あの姿以上に、やはり彼女達は暖かくて楽しい人たちだった。 目の前の二人は、私が唐突に涙を流したのを見て若干呆気にとられていたが、 突然思い立ったように 唯「よーし。この前のリベンジだ。茜ちゃーん!」 律「私もー!」 二人で抱きついてくる。 唯「ふふふ、これなら身動きがとれないでしょ?新しい作戦を考えていたのだよ!」 律「へへへ。茜ちゃんのやんちゃぐらい、私達にはなーんともないんだからな!」 冗談めかして頼りになる事を言ってくれる。 ひとしきりふざけ合った後、何事か彼女らは目配せすると手に手に楽器を持って演奏の準備をしだした。 たちまち演奏者の顔つきになる五人。 教室の電気が落ちて暗くなる。 律「よーし、いくぜ!今日は茜ちゃん歓迎の特別ライブ!」 紬「最高の演奏をお聞かせします!」 梓「あ、あなただけに送る私達の気持ち!」 澪「受け取って!」 律先輩のドラムが鳴り出す。 演奏が始まる。 唯「茜ちゃん、けいおん部へようこそ!」 終わり